ロックダウンが施行されて約1か月半。
多くの国が経済活動再開に向けて動き始めている。
改めてこの期間を振り返ってみると、
それまでの「対岸の火事」的なお気楽ムードが一転したのは、3月11日に学校やミュージアム、映画館などのクローズが発表された時。
最も緊張感が走ったのは国境閉鎖などが発表された時だろう(3月13日に発表、3月15日午前0時から国際線の運航がストップ)。
この「のんびりムードから一変」というのはポーランドだけかと思っていたのだが、後々、オンライン・メディアの記事を読むと多くの国で似たような状況だったようだ。
世界中が油断していたらしい。
3月14日に街に出てみたが、ゴーストタウンかと思うほど車も人通りも少なかった。
通りを歩いているのはホームレス風の人ばかりで、ちょっと怖かった。
特にこの日は天気が悪く、一瞬、晴れ間があったかと思えば、視界が悪くなるくらい雪が降り出すなど奇妙な天気だった。
ちょっと大げさだが「この世の終わり」という言葉が頭をかすめた。
このままゴーストタウンと化してしまうのか、と危惧していたのだが
週明けの月曜日に街に出てみると、思ったよりは人がいる。
しかし、歩いているのはお年寄りばかり。
若い人の姿はなかった。
1週間くらいすると若い人も街に出始め、
その分、人通りが増えた感じになった。
しかし、街の中心部でも観光客が多いエリアは閑散としていた。
東洋経済に記事を書くことになっていたので街の写真を撮りに行ったのだが、
真昼間だというのにオールドタウンには人影がない。
厳密にいえば2,3人はいたのだが。。。
ちなみにこの時はまだ外出制限前。
Old town 3月24日 聖十字架教会 3月24日
いつもなら買い物客でにぎわうNowy ŚwiatからChmielnaを抜けてCentrumへ向かう途中、
若い男性から「小銭を恵んでくれ」と声をかけられた。
もちろんお断りしたのだが、よく考えるとちょっと危ない状況だったかも。
というのは、近くに他に歩いている人がいなかったので、
例えばバッグをひったくろうと思えば、わりと簡単に実行できたはずだ。
幸い、そこまで悪い人ではなかったようで、断るとあっさりと離れていったが
不要不急の外出は避けるべき、というのはこういう意味合いもあるのだろうか?
各国の状況について書かれた記事を読むと、「アンチマスク派」の国もけっこうあるようだが、ポーランドでは3月の終わりごろからマスクを着用する人が急増した。
4月には外出にマスクなどで鼻や口を覆うことが義務付けられた。
義務化ということで、さらにマスクをする人が増えるだろうと思ったら…
発表から施行までの期間は、マスクをする人の姿はむしろちょっと減った気がする。
数えたわけでもないし、ただの自分の感覚ではあるのだが、
もし本当にそうだとしたら、上から押し付けられるのが嫌いなポーランド人らしい。
さて、ポーランドでは5月4日から経済再開に向けてのロックダウン緩和・第2フェーズに入った。(いつの間にか第1フェーズは始まっていたし、人々の意識としてはずいぶん前から勝手に緩和が始まってたような気もするが。。。)
気になるのは、周辺国の中には感染者のActive Caseが下り坂になってきているのに、ポーランドはまだそのような状況にはなっていないのに緩和を始めたこと。
ポーランドは感染者数がまだ少ないうちにロックダウンに踏み切った。
規制もわりと厳しかったと思う。
しかし成果は今ひとつ。
たしかに報告されている感染者数は少ないが、検査数も少ない。
人口100万人当たりの検査数は5月14日時点でドイツの40%程度だ。
やみくもに検査を行えば医療機関に負荷がかかり、医療崩壊を招く原因になる、
ということは理解できる。
しかも検査の精度は100%ではない。
が、検査数が少ないということは、感染してるんだかしてないんだかわからない人が多いということだ。
つまり現状がよくわからない。
現状の把握が甘い中での対策というのは、はずす可能性も大きいような気がするのだが。。。
さらに、テストをしたら陽性になる可能性がある人の数がまだまだ多いということでもある。
このあたりを考慮すると、ポーランドは感染をうまく抑制できたとは、単純には言い切れないだろう。
むしろ、
ロックダウンが早ければいいってもんじゃない
規制が厳しければいいってもんじゃない
という悪例にならなければよいが、と思っている。
今、世界でコロナ問題の対処で高評価を得ている国といえば
ドイツ、フィンランド、ニュージーランド、台湾あたりだろうか。
いずれも女性がリーダーだ。
いくつかの記事を読む限り、成功の秘訣というのは
指揮をとる人間が明確なビジョンを持ち、それを丁寧に国民に説明することで共感を得ることができた、というところのようだ。
今回のコロナは”新型”というだけに、過去のデータで有効性を示して説得するということが難しい。
数字で説得できないぶん、
なぜ、どうして、何を目指して、というようなことを
指導者が自分の言葉できちんと説明していかないと本当の意味で伝わらない。
規制を作っても、それをどのように実行するかは国民ひとり一人にかかっている。
ロックダウンというのは人々に不便を強いることであるから、きちんと共感を得られていないと、それぞれ自分の都合のいいように解釈、アレンジし始める。
また、何をもって”早い”というのかという問題もある。
私はポーランドは早くロックダウンしたと思っていたのだが、
Facebookで「中国で新型コロナウィルスの蔓延が報告された時点で国を閉鎖していれば、ポーランドでここまで感染が広がることはなかった。国の対応は遅すぎる。怠慢だ。抗議しよう」
というページが設定され、結構な人数が賛同しているのを見つけた。
論旨が妥当かどうかはともかく、見解次第で早いとも遅いとも言えるということだ。
ポーランドは5月10日に5年に一度の大統領選挙の投票日を控えていた。
現政府はロックダウン中でもこの日に選挙を実施したくてしかたなかったらしい。
早々にロックダウンを決定した時は
「今からやっとけば5月には余裕」くらいに思っていたのかもしれない。
コロナウィルス対策として郵便での投票が準備されていたが、ロックダウン実施当初から公正さの欠如や違憲性などが取りざたされており、
元欧州理事会議長のドナルド・タスク氏や、「連帯」のレフ・ヴァウェンサ(ワレサ)氏、前大統領のブロニスワフ・コモロフスキ氏などが選挙のボイコットを表明していた。
結局、投票はこの日には行われなかったようだ。
私には投票権はないが、選挙の行方はものすごく気になっている。
そして選挙後のコロナ状況も。
↓人の消えたワルシャワの街(Hala Mirowska以外は3月24日に撮影)
ワルシャワ大学 コペルニクス像 ワルシャワ大劇場 ワルシャワ中央駅 Metro Centrum Złote Tarasy Uber EatsとWoltの配達人 Hala Mirowska 無名戦士の墓