コロナがなければ今年の夏はMazury(ポーランドの湖水地方)に行こうと思っていた。
友人のご両親が遊びにおいでと言ってくれていたのだ。
今でも行きたいと言えばたぶんOKしてくれるだろう。
しかし、予定は変更することになりそうだ。
もちろんコロナの影響だ。
もし、知らずのうちに自分が感染しており、それを友人のご両親に伝染させてしまったら、そして万が一、亡くなりでもしたら一生後悔することになる。
やっかいなのは、誰から感染したかはっきりしないこと。
たまたま私が遊びに行ったころに、他の誰かから感染したということも十分にあり得る。
しかしそれを証明する術はない。
白黒はっきりしないだけに、ずっとしこりとなって残るだろう。
そんなことを考えると、とても気軽にお邪魔する気にはなれない。
ちょっと会ってお茶を飲む程度ならよいだろうが、一つ屋根の下で数日過ごすというのはリスクが高い。
コロナが収まるまでは、旅行というのはそれなりの覚悟を持って臨むべきものになるのかもしれない。
コロナに関してはまだわからないことだらけだが、自分が感染するリスク、隔離/監視対象になるリスク、他人に感染させるかもしれないリスクをコントロールする必要がありそうだ。
Withコロナの時代はこのリスクと、リターンのバランスを考えて行動することになるのだろう。
しかし…
実際の街の様子はというと「抑圧からの解放」の反動か、
コロナなどなかったかのようだ。
段階的に規制緩和が進められたのだが、今やもうユルユル。
「周りにコロナに感染した人はいない。本当に蔓延しているのか?」
と疑う人さえいる。
私の場合は、友人の一人が「自分にコロナの典型的な症状が出ている」と深刻なトーンでFacebookに状況を書き込んでいたことと、
住んでいるアパートの住人の中から感染者が出たとかで、管理会社が全住人にマスクを配ったことがあるので「そこにある脅威」として感じていた。
こういう経験が全くなければ、現実感がわかないのは仕方ないのかもしれない。
しかし、注意してみるとちょっとした異変は見受けられる。
マスクが配布された数日前、窓の外で青白いライトが点滅しているので何だろうと思って見てみると、向かいの棟の側に救急車が止まっていた。
誰かを搬送しているところを見ることはできなかったが、数分後、ライトは点滅させたまま、サイレンは鳴らさずに走り去っていった。
なんとなく普通ではないものを感じ、コロナ患者が出たんじゃないかと思っていた。
ほんの数日前は、近所のビルのエントランスに2人組の警官がいるのを見た。
自宅隔離対象者がちゃんとルールを守っているか、チェックしに来たようであった。
先に述べたように、街はコロナなどなかったかのように安穏とした雰囲気だが、
未だ厳重なチェック体制を敷いているところもある。
その一つが移民局。
6月下旬に所用で移民局のオフィスに行ったのだが、街の様子とは対照的な厳格さ。
まず、建物の入り口は係の人が見張っていて、予約がある人以外はビルの中に一歩も立ち入れないようになっている。
予約がある場合も外に並び、一人ずつ順番に中に入る。
中に入ると、名前と予約時間を照会し、行くべき部屋を指定される。
そしてゲート(といっても机を並べて作られた簡易なものだが)で、手の消毒と体温測定。額にピッとセンサーを当てられる。
センサー式の体温測定、初体験。
それが終わると次のチェックポイントで、行先の部屋番号の再確認と行き方を指示される。
トイレは、ゲートとこのチェックポイントの間にあるので自由には行けない。
(お願いすれば使わせてもらえるとは思うが)
来訪者の行動範囲、滞在時間を最小限に制限したいようだ。
安全性の確保にピリピリしてはいるものの、係の人たちは親切で感じはよかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
たまたま同日、Targowisko Bakalarskaに行ったら、ここも独自のチェック体制を敷いていた。
Targowisko Bakalarskaはプチ・アジア街といった感じの場所で、衣料品、靴、コスメなどを売る屋台が集まっている。そんなに広くはなさそうなのだが、約500もの店があるとか。
その多くはベトナム人の経営らしいが、ポーランド人、ブルガリア人、アフリカ諸国の出身者が経営する店もあり、旧共産圏の空気感も纏う、ちょっと面白い場所だ。
この敷地内にあるアジア食品店はワルシャワの中心地にある店より安いので、時々買い物しに行く。
Targowisko Bakalarskaの動画↓
撮影日は2016年12月となっている。
現在はバカラルスカ通りに面したあたりは整備され、全般的にこのビデオよりもう少しきれいになったとは思うが、ごちゃごちゃと店が集まっている雰囲気はあまり変わっていない。
ロックダウン以降、久しぶりに来たのだが、なんと入り口は警備員のお兄さんたちが見張っていて、一人一人に手の消毒と体温チェックまで行っている(移民局と同じくセンサーでピッとはかるタイプ)。
他のショッピングセンターでは、規制が最も厳しい時でも体温を測られたことはなかったし、今や手の消毒でさえかなりアバウトになってきているのとは大違いである。
Targowisko Bakalarskaで商売を営む人たちは、コロナがヨーロッパに飛び火する以前から、正月を自国で過ごして帰ってきた人たちに、一定期間、自宅待機させるなどの防衛策をとっていたらしい。
リスク管理能力高し。
この警戒態勢を見ると、まだまだ油断できないと思っているのだろう。
この2つの施設の共通点といえば…
外国人が集まる場所ということ。
国際線の運航が再開される国も拡大中だが、大丈夫なのだろうか?