Wielka Orkiestra Świątecznej Pomocy (WOŚP) 、英語にするとGreat orchestra of Christmas charityは、ポーランドで最大の慈善組織で1993年に設立された。ポーランドの公立病院への医療機器の提供などを主な目的として大規模なチャリティーを行っている。
名前が長いので外国人には覚えきれないが、「Wielka Orkiestra」といえばポーランド人なら皆、理解してくれる。
老若男女、イナカの人も都会の人もみんな知ってる。
WOŚPを知らないポーランド人などいないのではないか、
というくらい強固なブランド力を誇る。
おそらくポーランドではシャネルやグッチより知名度は高い。
毎年、1月の第2日曜日にグランドフィナーレが開催されるのだが、2021年はコロナの影響で1月31日に延期となった。
グランドフィナーレの日に街を歩くと、皆、赤いハートのステッカーをコートやジャケットに貼り付けている。この日は募金箱を持ったボランティアが街のいたるところにおり、寄付をするとステッカーをもらえるのだ。
街行く人の「ステッカー貼ってる率」は、90%以上か?
多くの人が2,3つ貼っているし、5つ以上貼っている人も珍しくない。
ペットのワンコも貼ってもらっていたりする。
子どものボランティアも多いのだが、彼らと目が合うとほぼ間違いなく「募金をお願いします」と声をかけてくる。もちろん断ってもよいのだが、多くの人が小銭を募金箱に入れてあげる。
そういう日なのだ。
この日に街を歩く時は小銭をたくさん用意しておいた方がよさそうだ。
通常は主要都市には特設会場が設置されコンサートなどのイベントが開催されるが、さすがに今年はオンラインに移行したようだ。
とはいえ、やはり街にはお祭りの気分が漂う。
オールドタウンのあたりを歩いてみたが、結構な人出。コロナの緊張感ゼロ。
しかし、夜景はきれいだ。
東京でもWOŚP w Tokioとして活動を行っており、2017年の東京でのイベントには私も参加した。
が、正直に言うと、その時はどういうものだか、その趣旨をほとんど理解していなかった。
2018年に初めてポーランド国内でWOŚPのグランドフィナーレを体験したが、あまりの規模の大きさに驚いた。まさに「国を挙げてのお祭り」という様相なのだ。
2019年1月のグランドフィナーレの時は、イベントを収録中のスタジオ内に行くことができた。友人が誘ってくれたのだが、具体的に何をすればいいのか当日になっても不明。ほぼ行き当たりばったりという展開であったが、面白い経験だった。
WOŚPの創設者であるJerzy Owsiak(Jurek)と言葉を交わし、ついでに自作のポンチュキをプレゼントできた。たぶん見知らぬ人間から受け取った食品を食べたりはしないと思うが、「日本の人からポンチュキもらったよー!」と受け取ってはくれた。
Jurekはポーランドでは超有名人。老若男女、この人の顔は知れわたっている。
実はこの時、重大な事件が起きていた。グダンスクの会場でアダモヴィッチ市長が暴漢に刺されたのだ(のちに死亡)。後で事件の詳細をチェックすると、市長が刺されたのはちょうど私たちがスタジオにいたころだ。Jurekもグダンスクで事故が起こった的なことを言ってはいたが、まさかそんな大事だとは、誰も思っていなかった。
市長の訃報が流れた後、Jurekは責任を取って財団の責任者を辞任することを表明したが、国民の多くが辞めないでほしいと嘆願したため、結局、慰留することとなった。
Jurekはまさに「WOŚPの顔」ではあるが、こういう時の対応は一歩間違えると収拾がつかなくなる。それを非常にスマートに切り抜けた。
このあたりの危機管理能力の高さは、日本の政治家は見習ってはどうなんだろう?
そんな大事件を乗り越えたと思ったら今度はコロナだ。
さすがに今年は寄付額は大きく減るのではと思ったら、なんと前年の額を更新。
すごい。
やはり何か見習うべきことはありそうな。