前回からの続き。
ドキドキのワクチン接種1回目。
事前に情報を検索しまくって準備を整える。
Facebookで「当日は問診票のようなものを提出する必要がある」という情報をキャッチ。会場にはポーランド語のフォームしか用意されていないことが予想されたので、英語バーションのフォームを入手しプリントアウトし記入しておく。翻訳アプリを使うとしてもポーランド語の問診票を読みこなすのは面倒なので英語版から書き写そうと思ったのだ。
当日、会場に着き、案内係の男性に予約日時などが記載されたSMSを見せると、まずは問診票の記入を促される。英語バージョンはあるか尋ねるとポーランド語版のみという。
やっぱり。。。
用意してきた英語バージョンを見せると、転記しなくともこれを提出すればよいといい、個室に案内される。そこには女性が二人いて一人はパソコンの前に座っておりデータ入力をする人、もう一人は注射を打つ医療スタッフだ。
英語かポーランドか尋ねられ、英語と答える。
「ポーランド語には自信がないから助かった」と言うと
「そうよね、ポーランド語は難しいわよね。どこの出身?」
など雑談を交えながら、問診票で答えたことの確認と体温測定、重要事項の説明などがあるが、とてもフレンドリーで緊張感も緩む。
実を言うと注射大嫌いである。針を腕に刺すなんて怖すぎる。しかも世界中を恐怖のどん底に陥れたコロナに対するワクチン接種だ。かなり緊張していたのだが、心配し過ぎていたようだ。
最後に、発熱や頭痛などの副反応が出た場合はパラセタモール以外は服用しないこと、注射後は15分間待合室で待機し、帰る前に次回の接種予約などが書かれたカードを受け取ることなどを説明され、いざ注射。
ネットで調べたところによると、コロナワクチンの注射は筋肉注射である。
筋肉注射…語感からするとかなり痛そうである。
が、実際は「え、もう終わり?」というくらいあっけなかった。一般的な注射より痛くないと感じた。
会場に着いてから注射を打ち終えるまで10分足らず。
かなりスムーズ。
そしてスタッフもとても感じがよい。
私は「基本的にポーランド人はすべてよい人に見える」という重い病にかかっているので、多少割り引いて考える必要があるが、それにしても感じがよい。
これだったらまた来てもいいなと思えるくらい。
いずれにせよ、私が接種したのはファイザーなのでもう一度来なければいけないのだが。
待合室で待機していると、ぽつりぽつりだが絶え間なく人がやって来る。予約なしで来る人も結構いるようだ。「15~20分くらい待てば打てる」と話しているのが聞こえてきた。会場や時間帯によるかもしれないが、なんとお手軽。
今回、ポーランドのコロナワクチン接種に関しては、PESELという日本のマイナンバーのようなものに対し、自動的にe-skierowanie (e-referral:電子照会)が発行され、そこで予約や接種履歴などが管理される。つまり、すでにネット上に基本台帳のようなものが自動的に作成されており、そこにアクセスするだけなので当日受付でも大きな混乱はないのだ。
ただし、外国人でPESELを持っていない場合は、まずe-skierowanieを発行してもらう手続きを行わなければならず、そこはちょっと面倒くさそうだ。
予約から1回目接種までかなりスムーズに事が運んだ印象。e-skierowanieは登録事項を必要最小限にとどめ、極力シンプルな設計にしていると思われる。それゆえにフレキシブル。例えば私の友人は、すいているという情報を聞きつけドライブがてら他都市まで接種しに行ってきた。
「副反応の可能性を考えると長距離運転は避けた方がよいのでは?」
という気はするものの、空きのある場所に行く余裕のある人がそこまで赴いて接種を済ませるというのは合理的ではある。日本のように”自治体ごとに”となるとこうはいかない。
ヌケがあるとすれば電話にしても問診票にしてもポーランド語オンリーというところだろう。ただでさえ外国人にとってポーランド語はハードルが高いのに、普段は目にしない単語が満載だ。特に問診票に関しては、これをすんなり理解するのは外国人には難しい。
が、実際のところ特に困らなかった。なぜかというと電話のオペレーターや接種ポイントのスタッフなど”現場の人”の対応がよいからだ。
ポーランドでは「困っている人には手を差し伸べる」という習慣がまだ生きていると感じる。これはカトリックの宗教観に関係してるのだと思う。
どこの国でも”お役所仕事”というのは官僚的で、弱者の視点に欠けていることは珍しくない。ポーランドの場合、制度としてはイマイチ雑でも人々の善意や現場の実務能力の高さででカバー、ということを織り込んで設計されているのでは?と思うことが間々ある。
しかしこういうやり方だと、善意ある人にたまたま遭遇できなかった場合はその恩恵を受けることができない。移民が増え、価値観が多様化すると機能しづらくなってくるのではないだろうか。
コロナワクチン接種のシステムは、その国のお国柄が少なからず反映されているような気がする。
さて、注射は無事に終わったが気になるのは副反応。1回目より2回目の方が反応は出やすいらしいが、1回目でも頭痛や倦怠感に悩まされる人もいるという。
体調不良になった場合に備え、2日分くらい寝込んでも大丈夫なくらいの食事は作っておいた。
結論からいうと特に問題はなかった。
注射をした局部にやや痛みがあったくらいだ。これは注射後、接種会場での15分間の待機時間からじわじわと表れ始める。とはいえ、打身のような痛さであまり気にはならない。私は毎朝、自宅でヨガをしているがその時に左腕がちょっと上げにくい程度のもの。副反応は免疫反応が活発な若い人の方が出やすいと聞く。若造りしてもこういうところでトシがバレる?
ところで、ワクチン接種を受けた日はちょうど規制緩和が実施され、屋外でのマスク着用の義務が無くなり、レストランもオープンエアーの席は解禁となった。
さらにこの日は、年に一度のNoc Muzeów(ミュージアム・ナイト)の日だった。ポーランド中のミュージアムなどが深夜まで様々なイベントを開催。昨年はすべてオンライン開催だったはずだが、今年はオフラインのプログラムも。
ワクチンの影響で体調不良になる可能性もあったので、特に予定入れていなかったのだがすこぶる元気。そして天気もよかったので出かけてみることに。
友人のパフォーマンスを見た後にNowy Świat界隈を散歩し、屋外コンサートにHula hoopを持ち込み小1時間ほど踊る、というコースだったのだが、どこも人、人、人。↓
気候が暖かくなってきたところに規制緩和 + 久々の大規模なイベント開催、ワクチン接種数も急伸中ということで、まさにお祭り騒ぎ。レストランはどこも長蛇の列。コロナ前の状態に戻ったかのようだった。自分も出歩いているからエラそうなことは言えないが、こんなに警戒心がユルユルになって大丈夫なんだろうか。副反応よりむしろそっちの方が気になった。
コンサートから帰宅後はビジネス系のオンラインイベントに参加。メインの企画が終わった後”二次会”で意見交換などしていたら、なんと8時間経過。
翌日は倦怠感があったが、たぶんワクチンのせいではない…