Jagodzianka(ヤゴジャンカ)はJagoda(ヤゴダ)の入ったパン。Jagodaはブルーベリーと訳されることが多いが、正しくはビルベリー。ブルーベリーより小粒で中までしっかり紫色。
ブルーベリーはポーランド語ではBorówka(ボルフカ)という。
Jagodaは夏の味覚。フレッシュなJogodaをぎっしり詰めたJagodziankaも当然、夏限定だ。(ジャムを詰めたナンチャッテJogodziankaは1年中売っている)。
私は毎年、Jagodaが出回っている時期にたくさんJagodziankaを作っておき、そのいくつかを冷凍保存し1年中楽しんでいる。
パン生地はちょっと甘くてふわふわした菓子パンタイプ。以前、友人のママから習ったciasto drożdżoweの生地をアレンジしたものを使っていたが、人工的なふわふわ感がどうも今一つ気に入らなかった。
ということで、今年は生地を変えてみることにした。
試作1号:自家製天然酵母、油脂や卵を加えないリーンな生地。
結論からいうと、激マズ。私は Jogodaに砂糖を加えないのでフィリングは酸味のきいた仕上がりになる。天然酵母生地ならではの酸味と相まって、なんと言うか、とにかくおいしくなかった。見た目もイマイチ。やはり Jagodziankaにはリッチな食感の生地の方が合うな、と思い、リッチ度を上げることに。
試作2号:自家製天然酵母でブリオッシュ生地。
これは美味しかった!特に焼きたては最高!普通のイースト生地ほどふわふわしすぎず、バターがたっぷり入ったリッチな生地が Jogoda の酸味に見事にマッチ!難点は時間がかかること。天然酵母がいい感じに発酵してくれるまで気長に待つ必要あり。思いのほか発酵に時間がかかったため、日曜の午後に焼くはずが、月曜の早朝に起きて焼く羽目になった。
試作3号: 試作2号と同様の自家製天然酵母でブリオッシュ生地、のはずなのだが、自家製酵母を適当に作りすぎてなかなか発酵せず。1日以上待っても中途半端な発酵状態であったが、あきらめて成型して焼く。時間を置き過ぎたためか生地に酸味があり、もたっとした口当たり。失敗。。。
試作4号:懲りずにまたまた 自家製天然酵母でブリオッシュ生地 。ちょっと仕事が詰まって忙しかったのだが、 Jogodaはそろそろシーズンオフ。翌週になると入手できない可能性があるため無理して作る。試作2号ほどではないが、まあ及第点の出来。
Jagodziankaを作る時のコツはできるだけ粒のしっかりしたJagodaを使うこと。鮮度が落ちると半分実が崩れたようになるが、水分が多いとパン生地でうまくくるめないのだ。しっかり閉じていないと二次発酵させている間に穴が開いてそこから果汁が出てしまう。
どうせ焼くのだから、多少古くてもいいだろうと実が崩れかけたJagodaで作ろうとしたら、天板が紫の洪水になったことがある。
新鮮な果実じゃないといけないなんて、なんて贅沢なパンなんだ。
Jagodはどこで買えるかというとHala Mirowskaなどの市場に行けば手に入る。常設の店のほかに市場周辺の路上でもおばさんたちが売っている。”朝、森で採ってきたよ~”といわんばかりの Jagodaは粒ぞろいで新鮮そうだ。常設店のものよりやや高めではあるが背に腹は代えられない。といっても、小さい容器(後で家で測ったら約250gだった)が10zl(290円くらい)。バカ高いわけではない。
Jagodaを買う時に「 Jagodziankaを作るんだ」と言うと、おばさんたちは例外なく「ほっほっほー」と笑ってくれる。そうやってJagodzianka 作りのモチベーションを上げる。
Hala Mirowska には毎年、遅くまで Jagodaを売っている店がある。
ポーランドに引っ越してきた年、「ベリー」というと何となく秋の味覚の印象があり、うっかりJagodaのシーズンを逃してしまった。気がついた時にはどの店にも Jagodaの姿は無くなっていたが、この店だけは扱っていた。
この店からも Jagoda が消えたら、それは秋が来たということだ。