9月の半ばごろ「ついにポーランドで最初のユニコーンが登場したらしい」というネットのニュースをキャッチ。
「おおー、ついに!」と思ったが、
ん?「らしい」って何だ?
いくつかのメディアが取り上げていたが記事を読んでみると、ヘルスケア系スタートアップのDocPlannerが8月に資金調達をして企業評価額が10億ドルを超えたが、その金額は非公式の情報をベースにしているので「らしい」ということらしい。
この会社自体の知名度は低いが「ZnanyLekarz」という、ポーランドではかなりメジャーなサイトを運営している。「ZnanyLekarz」 は英語にすると「Well-known Doctor」というような意味で、医者の検索から予約までできる。10万人以上の医者がデータに登録されているという、私も2018年の春に大量脱毛に悩まされた時、このサイトで「英語のできる皮膚科医」を探して通院した。
もう一つ気になることが。
Business Insider Polskaの記事中には、DocPlannerは Dutch companyという記述があるのだ。
え、オランダの会社?
DocPlannerのLinkedInを見ると 2012年にポーランドで設立。
本社はワルシャワとある。
同社のホームページを見ると、現在、7各国に拠点があり、12か国でサービスを展開しているようだがヘッドクオーターがどこかは記載されていない。
Business Insider Polskaの記事には「DocPlannerはオランダに拠点を置きながらも、ポーランドにルーツを持っており、創業者たちはワルシャワ工科大学の卒業生」と書いてある。
「Mariusz Gralewskiはポーランドで設立されたオランダの会社 DocPlannerを経営している」というキャプション付きの写真も掲載されている(この人が現在のCEOらしい)。
ポーランドで2012年に設立した会社はまだポーランドにあるようだ。おそらく、複数の国に展開した時、グループの本拠地をオランダに設立したのではないかと思われる。
でもそうならば「ポーランドにルーツを持つオランダのユニコーン」というべきで、
「ポーランドのユニコーン」と言うのは語弊があるような気がするが?
ということで、世界のユニコーンのリストを公開しているCB Insightsのサイトではどのようになっているかをチェックしてみた。
が、そもそも10月17日時点で DocPlannerという社名はリストにはない。
どこの国の会社?という以前にリストに入っていない。。。
公式データの発表がまだなのか、公式データでは10憶ドルに達していなかったとか??
いずれにしても「ポーランドのユニコーン」は載っていない。
ポーランドがいまだユニコーンを輩出できない理由としてよく挙げられることの一つが「グローバル化が遅れている」ということ。
で、この記事を読んで思ったのだが、ポーランドでグローバルに打って出ようという人は、グローバルな”視点”というのはすっ飛ばして、現実的にグローバル展開しやすい国で会社を設立してしまうのかも。
EU圏なら「他国で会社設立」といってもぐっとハードルが下がるはず。税金、資金調達、エグジットなどやりやすい国で会社を運営しようというのは理にかなっている。
もしかして、ユニコーン予備軍が流出しちゃってるのか??
そういえばポーランドは優秀なIT技術者が多いことで知られるが、国内ではIT人材不足らしい。なぜかというと、給料などがよりよい国に流れて行ってしまうから。
ちなみに医療従事者も不足しているという。 なぜかというと、給料などがよりよい国に流れて行ってしまうから。
ポーランドではパンデミックの初期から今に至るまで、周辺諸国に比べてPCR検査数を抑えてきたが、テストをガッツリやって大量の陽性者が医療機関に押し寄せると、 医療従事者不足ゆえに医療崩壊するのでそれを防ぐため、という面もあったらしい。
IT技術者、医療従事者だけでなく、ユニコーン予備軍まで流出か?
まあしかし、条件の良い方向に流れていくというのは自然なことでもある。
そういえばピッチイベントなどで、ポーランド以外の国のスタートアップの”チームメンバー”に、ポーランド人らしき名前を見ることがある。
アレはそういうことなのか?