一般的な日本人っぽくないとよく言われるし、自分でも自覚はしている。
が、ポーランドに来て「ここはどっぷり日本人だな~」と思うことがある。
何かというと消費傾向。ものの買い方のデフォルトが、いかにも日本人。
まあそりゃそうだ。50年以上、日本社会の中で暮らしていたわけだから、習慣というものはしっかり染みついている。
「自分のモノの買い方、まんま日本人」
ともっとも感じるのは、ワルシャワにある常設市場Hala Mirowskaで買い物をする時。
ここは生鮮食品や服飾品などいろんなものを売っているが、メインは果物、野菜など。冬は生鮮野菜や果物が少なく、店先に並ぶのはキャベツやキュウリなどの漬物やジャガイモなどがメインになるため、景色が白系や茶色系になる。果物といえばリンゴくらい。それが春になるとだんだん色づき、気温に比例するように鮮やかな色彩の果物が増え、買い物客も増え、ぐっと華やいでくる。
年にもよるようだが、5月から6月くらいはイチゴが盛りになる。イチゴにもいつくか種類があり、時期によって旬が違うようだ。出始めのころは値段が高く、それがだんだん下がっていき、最盛期に底値をつけ、旬が過ぎるとまた上がっていく。輸入物と思われるイチゴは秋口まで売っている。2019年6月に Hala Mirowska で私が購入したイチゴの最安値は1㎏5ズロチ。約145円(1ズロチ29円で換算)。安っ。
イチゴにやや遅れてczereśnia(チェリシニャ)が出始め、イチゴがそろそろ終わるころにwiśnia(ヴィシニャ)が盛りとなる。 czereśnia は日本でいうところのアメリカンチェリー、 やや大ぶりで甘みが強い。 czereśniaにも いくつか種類があり、「czereśnia summit」は日本で売られている「桜桃」に見かけが近いが、買ったことがないので味はわからない。
wiśnia はサクランボ。 czereśniaとくらべて果皮が柔らかく、香りと酸味が強い。よく熟れた wiśniaが私は大好きだ。
ラズベリー(malina)の登場も似たようなころ。2017年、ポーランドに越してきた年は、Malinaの安さに狂喜し、やたら食べまくっていた。
だって日本ではこんな値段するのが
こっちではこの値段である。 Malina病よろしく、食べまくっていた
2018年は Wiśnia にハマっていた。シーズン中に軽く5㎏は軽く腹に収まったはずである。
Wiśniaは生食だけでなく、お菓子などにするのも向いている。
Nalewka wiśniowa(サクランボのナレフカ)を作ってみたり、白餡でイチゴ大福ならぬサクランボ大福を作ってみたら意外においしかった。
そして2019年はイチゴを食べまくっていた。
消費傾向の話をするつもりがちょっとそれてしまったが、
Hala Mirowska でイチゴやサクランボを買う時、最初は「300gください」と買っていた。日本のスーパーのイチゴ1パックがだいたいそれくらいの重さだ。
自分的にはそれが普通の量。
しかしポーランド人は1㎏とか2㎏とか、最低でも0.5kgを買っていく。多くない?
イチゴ 1㎏ って、二人暮らしだとしても一日では食べきれないと思うのだけど?
大量に買うと、食べきれない分は数日間冷蔵庫に入れっぱなしになる。
食べきれる分だけちょっとづつ買って、無くなったらまた買いに行く方が常に新鮮なものを食べることができると思うのだが。そこでハタと気づく。やっぱり日本人って鮮度を気にするよな、と。
それと、1つのものをドカッと食べるより、数種類のものをちょっとづつ食べたい。
イチゴやサクランボを買う時に300gと注文していた、とポーランド人に言うとなぜかウケる。
「マジ?イチゴをグラム買い?それは罪だなー(笑)」と。
カルチャーギャップってやつか?
しかし慣れとは恐ろしいもので、次第に 300g は少なすぎると思うようになり、1.5kgにするか2㎏ にするか迷うようになってくる。もっとも 1㎏ 以上買う時は生で食べるだけでなく、KompotとかNalewkaとか、ジャムを作ろうと思っているのである。 フツーに食べるだけならやはり 0.5 kgくらいが自分としては妥当なところ。
そして「今日はイチゴいっぱい買うぞ」という時は籠を持って市場に出かける。
市場で野菜や果物を買うとビニール袋に入れてくれるのだが、これがかなり無造作。
ザザッ、ドサッ、ハイどうぞっ、という感じ。
イチゴのように果肉の柔らかいものは、家に持ち帰る間に袋の中でかなりの数が潰れてしまう。
しかし籠だと比較的潰れにくいのだ。
だからイチゴの季節は籠を持って市場に行く人が多い。
籠買いをするなら、確かに300gは少ない。スカスカになってしまう。
籠にもいくつか大きさがあるようだが、私が持っているものは1㎏だとちょっと余白あり。1.5kgくらいがちょうどよい。
「イチゴ1㎏ください」といってお店の人に籠を渡すとその中にイチゴを入れてくれる。
ポーランド人にとっては何気ないことなのだろうが、私にとってはかなり新鮮。
そしてポーランドの人たちのマネをできてちょっぴりうれしい。
籠を持って市場に出かけると、気分が上がる。
些細なことかもしれないが、ポーランドのこんな日常が好きだ