旧共産圏のイメージからすると意外かもしれないが、ポーランドの銀行は世界でもかなりイノベーティブだという。
経済に造詣の深い友人・Magdaは「ポーランドのモダン・エコノミーは1990年にスタートした」と語る(旧共産体制を脱し、1989年にポーランド共和国誕生、90年にワレサ大統領就任)。当時の金融システムは全くイケていないものだったが、逆に言えばまっさらな状態だった。そこにフランス系、イタリア系、ドイツ系など各国の金融機関が参入してきて、それぞれの「いいとこどり」ができたのだという。
古い家屋を壊して家を建て直すより、更地に家を建てる方がラクという感じか?
キャッシュレス・ペイメントもかなり進んでいる。
これ、ガイコクジンにはかなりありがたい。
スーパーのレジで「18.99 zl(オシェムナシチェ ジェビェンジェショント ジェビェンチ)」などと言われてもとっさに反応できないが(なぜポーランド人はこれを噛まずに言えるのか??) 、カード決済なら端末にピッとタッチするだけ。
さらに愛用しているのがBlik payment。
スマホにダウンロードしている銀行のアプリに表示されるBlik cordを入力することで、キャッシュカード不要で決済できる。Blik cordとはワンタイムパスワードのようなものだ。ネットショッピングをする時も、クレジットカードやデビットカードの番号を入力しなくてよいので便利だ。ATMで現金を引き出す際にも利用できる。
この手のサービスは利用できる店舗がどのくらいあるかが重要だが、利用可能店舗はどんどん増えている印象で、街中の小さなアイスクリーム店でもBlik対応だったのには驚いた。
近所にあるチェーンのスーパーでも半年くらい前から対応になったのでもっぱら愛用。
個人的にはかなり便利なシステムだと思うのだが、私以外でBlikを使っている人を見かけたことがない。
ちょっと珍しいようで、レジのおっちゃん、おばちゃんにも
「支払いはいつものようにBlik?」と聞かれる。
彼らの間では「いつもBlikで払うアジア人」とか言われてそうな気がする。
スマホを取り出してアプリを開いてBlik cordを入力というのが面倒くさいのか、
使える店が多いのに、使っている人を見かけない。
たしかに、カードを端末にピッとやる方が簡単ではある。
とはいえ、ネットショッピングではBlikを使う人は多いのではないだろうか。
支払方法をBlikにすれば、クレジットカードの番号を入力しなくて済む。
手軽だし、セキュリティ的にも安心。
Blikに救われたこともある。
ある日、取材をセッティングし、待ち合わせのカフェに着いたところで財布を忘れたことに気が付いた。しかも予備の現金を入れているポーチも家に置いたまま。つまり、現金もキャッシュカードもクレジットカードもないのである。家に取りに帰る時間はないし、初対面の相手に奢ってもらうわけにもいかない。
一瞬、青くなったが、幸いスマホはある。カフェの隣に銀行のATMがあったのでBlikで現金を引き出すことができた。
いつもはわりと惰性で使っているが、この時は「Blikがあってよかったー」と本当に思った。
なんかCMみたいな展開ではあるけど。