ポーランドのインキュベーターとは?

Start Up

約1年ほど、Incubator(インキュベーター)というものを利用した。
ポーランドでIncubatorと呼ばれているものは、日本でいうところのインキュベーターとは役割が異なる。 スタートアップ企業への経営アドバイス、資金調達などの経営支援は、こちらでは Accelerator と呼ばれる組織が担っている。

ポーランドのIncubatorはどういうものかをざっくり説明する。
ポーランド人は比較的、独立志向が高いように思う。私の周りにも「自分でビジネスをしている」という人は少なくないが、多くはJednoosobowa działalność gospodarczaとしてビジネスを営んでいる。ちなみにこれ、イエドノオソボヴァ ヂャワノシチ ゴスポダルチャと読む。長い…。

英語ではone person companyなどと訳される。日本でいうところの個人事業主と思えばよい。

正社員として会社勤めをしていれば、健康保険料や年金保険料は基本的には労使折半になるが、Jednoosobowa działalność gospodarczaだと雇用主がいないので全額自腹。しかも Jednoosobowa działalność gospodarczaとして登録すると当初は保険料の減額があるが、一度登録すると、例え収入ゼロだったとしても数年間は保険料を払わなければならない。もしビジネスがうまくいかなかった場合の金銭的負担は少なくない。 

一方、 インキュベーター を使うと、形としては インキュベーター に雇われることになり、日本でいうところの「業務請負」のような契約形態を選択すれば、健康保険や年金に加入しなくて済むので、保険料の負担がない。さらに インキュベーター所属の会計士や弁護士を利用することもできる。利用するには月額利用料が必要で、その金額はIncubatorで異なるが250~300ズロチ程度。Jednoosobowa działalność gospodarczaとしてビジネスを運営するより大幅にコストを抑えられる、というのがうたい文句である。
ちょっと語弊があるかもしれないが、「社員の肩書を貸す」システムといえばイメージしやすいのではないだろうか。

このようなシステムを提供する会社はいつくかあり、基本的にはポーランド人向けのサービスなのだが、外国人に対してWork permit、Residence permitをサポートするという インキュベーターを見つけたのだ。
ちょうどそのころ、
複数の会社から仕事をもらうことはできそうだが、仕事の発注のたびに Work permitを取ってもらうのは難しそうだ。どこか1社に Work permit を取ってもらい、その会社を経由して複数の会社と仕事ができれば、
と考えていたのであるが、 インキュベーターを使えば、それが実現できると思ったのだ。

ここで、ポーランドのWork permit(ワークパーミット=労働許可)、Residence permit(レジデンスパーミット=居住許可) についてざっくり説明しておく。

Work permitはシンプルに言うと「この仕事(案件)でこの外国人を使いたいので許可をください」というものだ。申請を出すのは雇用主。正社員として中長期に雇用する場合だけでなく、短期の仕事や1回だけの仕事でも必要となる。また、許可された範囲の仕事しかできない。A社に Work permit を取ってもらって仕事をする場合、B社の仕事はできない。A社の仕事でも、例えば翻訳者として Work permit を取得した場合、プログラマーとしては従事できない。 B社の仕事もしたければ、 A社を介して仕事を請けるか、B社にもWork permitを取得してもらえばよい。A社で翻訳者だけでなくプログラマーの仕事もするなら、 プログラマーとしての Work permitも取得すればOK。
滞在が合法なら「旅行者」というステイタスだとしても、 Work permit があれば合法的に働くことができる。
ちなみに仕事を発注するのが海外の企業である場合は、ポーランドの Work permit は不要。例えば日本にある日本企業から仕事を請けた場合、実作業はポーランドで行い、報酬をポーランドの銀行に振り込んでもらったとしてもポーランドの Work permit は必要ない。

これらについては以前、複数の弁護士に確認しているが、法律が変更されることもよくあるし、私自身、法律の専門知識があるわけではないので、もし間違いや不正確な記述があった場合は随時、修正していきたい。

Residence permit というのは「ポーランドに居住する正当な理由があるのでResidentとして認可してほしい」という申請で、申請者となるのは本人。”正当な理由”としては、ポーランド国内にある会社で働く、ポーランド人の配偶者がいる、ポーランドの大学で学ぶ、など。残念ながら「ポーランドが大好き」というだけでは不足だ。

インキュベーター と契約すればWork permitを取ってくれる。 ポーランドで雇用があることを根拠に Residence permitを申請可能だ。

ただしインキュベーター が仕事をくれるわけではなく、仕事は自分自身で取ってこなければならない。クライアントとの仕事のやり取りは インキュベーターは一切関知しない。 インキュベーターが絡むのはお金の部分だけ。クライアントは、私専用に開設された インキュベーターのサブアカウントに報酬を支払い、そこから私の個人口座に振り込まれる。

フリーランサー的に働けるし これはよい方法だ、と考えたわけだ 。
しかし結局、1年でやめることになる。実のところ、使い始めた当初から問題だらけであった。
そのワケは次回に。

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